ある朝、五歳になる息子の右目が真っ赤に腫れているのを見つけたとき、私の心には言いようのない不安が広がりました。息子の目は少し潤んでいて、瞬きをするたびに痛そうにしていました。真っ先に頭をよぎったのは、保育園で流行っている感染症ではないか、そして、まだ赤ちゃんの妹にうつってしまうのではないかという恐怖でした。慌てて近所の眼科へ駆け込むと、先生は息子の目を丁寧に診察した後、穏やかな声で「これはめばちこですね。誰かにうつる病気ではありませんよ」と教えてくれました。その言葉を聞いた瞬間、張り詰めていた緊張がふっと解けるのを感じました。先生の説明によれば、めばちこはバイ菌がまぶたの淵に入って悪さをしているだけで、インフルエンザやはやり目のようにウイルスが飛んでいくものではないとのことでした。私は、家族でタオルを共有しない方がいいのか、息子を学校へ行かせていいのか、事細かに質問しましたが、先生は「タオルは念のため分けた方が衛生的ですが、過度に隔離する必要はありませんよ」と答えてくれました。帰宅後、私は教えてもらった通り、息子に目を触らないように言い聞かせ、処方された目薬をさしてあげました。その夜、妹が息子の顔を触ろうとするたびにハラハラしましたが、うつらないという確信があったので、以前のようなパニックにはなりませんでした。数日が経過し、息子の目の腫れは徐々に引き、痛みも消えていきました。結局、妹にも私にも症状が出ることはなく、先生の言葉通りでした。この経験を通して学んだのは、正しい知識がいかに不安を打ち消してくれるかということです。それまでの私は、目の病気=すべて感染力が強いという偏見を持っていました。しかし、めばちこの正体を知ることで、落ち着いて看病にあたることができました。もしあの日、自己判断で「はやり目だ」と思い込み、息子を部屋に閉じ込めてしまっていたら、息子にも余計な寂しい思いをさせていたかもしれません。お医者さんの診断を仰ぎ、正しく恐れることの大切さを、私は息子の腫れたまぶたから教わったような気がします。
息子のめばちこがうつるか不安だった私の看病記録