ある日の朝、目が覚めると喉に焼けるような痛みがありましたが、最初は単なる風邪だと思い込んでいました。しかし、二日経っても痛みは引くどころか増すばかりで、ふと鏡の前で大きく口を開けて驚愕しました。昨日まで白っぽかった舌が、見たこともないような鮮やかな赤色に変わり、表面には小さないちごのようなブツブツが無数に浮き出ていたのです。これが噂に聞くいちご舌か、と直感的に思いましたが、三十歳を過ぎた大人の自分がなぜ、という困惑の方が勝っていました。熱を測ると三十八度五分あり、全身のだるさと共に関節の痛みも感じ始め、私は慌てて近所の耳鼻咽喉科へと向かいました。待合室で待っている間、スマホで大人のいちご舌について検索すると、溶連菌だけでなく深刻な病名がいくつも表示され、不安で押しつぶされそうになりました。ようやく診察室に入り、医師に舌を見せると「典型的な溶連菌感染症による症状ですね」と診断されました。子供からうつった心当たりはありませんでしたが、医師の話によれば、大人は無症状の保菌者から感染することも多く、疲労が溜まっていると発症しやすいとのことでした。処方されたのは十日分の抗生物質で、医師からは「途中で症状が消えても、菌を根絶するために最後まで必ず飲み切るように」と強く念を押されました。薬を飲み始めて二日後には、あんなに真っ赤だった舌の腫れが少しずつ引き始め、三日目にはブツブツも目立たなくなりましたが、今度は舌の表面の皮が薄く剥けてくるという不思議な現象が起きました。これも溶連菌感染症の回復期に見られる特徴だそうで、私の体の中では激しい戦いが行われていたのだと実感しました。もし、あの時「たかが舌の赤み」と思って放置していたら、腎炎などの合併症に繋がっていたかもしれないと思うと、早めの受診がいかに大切だったかを痛感します。闘病中、一番辛かったのは酸味のある食べ物が舌にしみて全く食べられなかったことですが、ゼリーや冷たいスープなどで栄養を摂りながら、とにかく身体を休めることに専念しました。完治した今、鏡を見るたびに健康なピンク色の舌の有り難みを感じています。大人のいちご舌は、見た目のインパクトが強い分、精神的なショックも大きいですが、正しく対処すれば確実に治るものです。自分の身体の異変を無視せず、プロの診断を仰ぐことがいかに重要か、私の腫れ上がった舌が教えてくれた貴重な教訓となりました。