夜、静まり返った部屋で一人眠れない時間を過ごしていると、このままずっと朝が来ないのではないか、あるいは永遠にまともな眠りは戻ってこないのではないかという、出口のないトンネルの中にいるような絶望感に襲われることがあります。そのような方にまずお伝えしたいのは、睡眠という機能は非常に頑丈にできており、適切な場所で相談すれば、必ず改善の糸口は見つかるということです。病院へ行く際、まず自分に問いかけてみてください。「自分は今、何に一番困っているのか」という点です。もし、寝つきの悪さや途中で目が覚めることに加え、気分の激しい落ち込みや、これまでは楽しめていたことに興味が持てなくなっていると感じるなら、迷わず「精神科」を選んでください。精神科は「心の風邪」だけでなく、脳の機能としての睡眠を調整するプロフェッショナルです。薬に対して怖いイメージがあるかもしれませんが、現在は患者さんの意思を尊重し、最小限の薬で最大限の効果を出すスタイルが主流です。また、眠れないこと以外に身体の痛みがひどい、お腹の調子が悪い、あるいは動悸がするといった症状があるなら「内科」や「心療内科」が適しています。内科では、高血圧や糖尿病などの持病が不眠を悪化させていないかを確認してくれます。さらに、家族からいびきの凄まじさを指摘されていたり、朝起きた時に口の中がひどく乾いていたりするなら、迷わず「睡眠外来」や「呼吸器内科」の看板を探してください。最近では、マウスピースやCPAP(シーパップ)といった器具を用いた治療で、その日から嘘のように熟睡できるようになるケースも多いのです。また、女性特有の悩みが関わっていると感じるなら「婦人科」が心強い味方になります。診療科を選ぶことは、自分の悩みに名前をつける作業でもあります。名前がつけば、対策が生まれます。不眠は、あなたが頑張りすぎていることを教えてくれるブレーキの役割も果たしています。病院へ行って医師に悩みを打ち明けることは、そのブレーキを正しく整備し、再び自分の人生を安全に走らせるためのメンテナンスです。「眠れないくらいで何科に行けばいいの?」という疑問は、もう過去に捨ててしまいましょう。どの科の医師も、あなたの「眠りたい」という切実な願いを真摯に受け止めてくれるはずです。まずは、最も相談しやすいと感じる場所の予約を取ることから始めてください。それが、不眠という長いトンネルの出口へと続く、確実な最初の一歩になるのです。
不眠という出口のないトンネルを抜けるための診療科ガイド