私は長年、完璧主義な性格が災いしてか、仕事のトラブルがあると一晩中そのことを考えて眠れなくなることがよくありました。当初は「寝るのも仕事のうち」と自分を奮い立たせていましたが、徐々にベッドに入るのが怖くなるほど不眠が深刻化してしまいました。睡眠薬を飲むことに対しては「一度飲んだら一生やめられないのではないか」「意志が弱いと思われるのではないか」という強い偏見を持っており、それが受診をさらに遠ざけていました。しかし、ある日、会社の同僚から「最近、駅ビルの中にある内科で不眠の相談に乗ってもらってすごく楽になったよ」という話を聞きました。心療内科や精神科という名前には抵抗がありましたが、普通の「内科」であれば風邪を診てもらう感覚で行けるかもしれないと思い、仕事帰りにそのクリニックを訪ねてみることにしました。受付で「最近よく眠れなくて」と伝えると、問診票を渡されました。診察室で医師に現状を話すと、先生は「不眠は心の弱さではなく、脳のオーバーヒート状態なんですよ」と説明してくれました。私が恐れていた睡眠薬の依存性についても、最近の薬は非常に安全性が高く、状態が良くなれば徐々に減らしてやめていけることを、具体的なデータを見せながら説明してくれました。また、寝る前の一時間の過ごし方や、どうしても眠れないときは一度ベッドから出て本を読むといった、具体的な対処法もアドバイスしてくれました。驚いたのは、先生が私の血圧や脈拍もしっかりとチェックしてくれたことです。不眠が身体に与えている負担を数値で示されたことで、これは立派な病気なのだと認めることができました。処方された軽い安定剤と睡眠導入剤を飲み始めると、あんなに苦戦していた入眠がスムーズになり、朝の目覚めが劇的に軽くなりました。薬を使いながら、先生のアドバイス通り寝る前のスマホを控えるなどの習慣を変えていくうちに、三ヶ月ほどで薬なしでも眠れる自信がついてきました。今では、不眠は自分一人で抱え込むものではなく、身近な内科でも解決できる問題なのだと実感しています。わざわざ遠くの専門病院を探さなくても、まずは駅前の信頼できる医師に相談してみる。そんな気軽な一歩が、私の長い夜に終わりを告げてくれました。