ある日突然、足や腕などの皮膚が広範囲にわたって赤く腫れあがり、熱っぽく、ズキズキとした痛みを伴う。そんな症状が現れたら、それは「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」かもしれません。蜂窩織炎は、皮膚の深い部分から皮下脂肪組織にかけて、細菌が侵入し、炎症が広がっていく皮膚の感染症です。軽症に見えても、放置すると重症化する可能性のある病気であり、早期の適切な治療が不可欠です。しかし、いざ病院へ行こうにも、「この症状は一体、何科で診てもらえばいいのだろう?」と迷ってしまう方は少なくありません。蜂窩織炎の診断と治療を専門とする診療科は、まず第一に「皮膚科」です。皮膚科医は、皮膚の感染症に関する専門家であり、患部の状態を正確に診断し、原因となっている細菌に合わせた抗生物質の選択や、適切な処置を行うことができます。皮膚の赤みや腫れが主な症状である場合は、まず皮膚科を受診するのが最も適切な選択と言えるでしょう。しかし、蜂窩織炎は皮膚だけの問題にとどまらないことがあります。38度以上の高熱や、強い悪寒、全身の倦怠感といった全身症状を伴う場合や、糖尿病、肝臓病などの基礎疾患がある場合は、「内科」や「総合診療科」を受診するのも良い選択です。これらの科では、全身の状態を管理しながら、点滴による抗生物質の投与など、より集中的な治療を行ってくれます。また、怪我をした傷口から感染が起こった場合や、骨や関節にまで炎症が及んでいる可能性がある場合には、「整形外科」が対応することもあります。特に、手術後の傷の周りが赤く腫れてきた、といったケースでは、まず手術を受けた外科系の診療科に相談するのが基本です。どこを受診すればよいか迷った場合は、まずは皮膚科を受診し、そこで全身状態の評価や、他科での治療が必要と判断されれば、適切な専門科へ紹介してもらうという流れがスムーズです。いずれにせよ、蜂窩織炎を疑う症状があれば、自己判断で様子を見るのではなく、速やかに医療機関のドアを叩くことが何よりも大切です。
蜂窩織炎になったら何科?正しい診療科の選び方