強力な噴射力で、凶暴な蜂を瞬時に退治する蜂用殺虫スプレー。その絶大な効果を目の当たりにすると、一体どのような成分が使われているのか、人体やペットへの影響はないのか、と不安に思う方もいるかもしれません。スプレーを安全に、そして安心して使用するためにも、主成分の特性と使用上の注意点を正しく理解しておきましょう。現在市販されているほとんどの蜂用殺虫スプレーの主成分は、「ピレスロイド系」と呼ばれる殺虫成分です。これは、除虫菊に含まれる天然の殺虫成分「ピレトリン」に似た構造を持つ化学合成物で、昆虫の神経系に作用し、麻痺させて死に至らしめる効果があります。特に、蜂に対しては非常に速く効果が現れる「速効性(ノックダウン効果)」が高いのが特徴で、反撃の隙を与えずに駆除するために最適な成分とされています。このピレスロイド系成分の大きな特徴は、人間や犬、猫といった哺乳類や鳥類の体内に入った場合、速やかに分解・排出されるため、毒性が低いということです。そのため、正しく使用する限りにおいては、人体への影響は比較的少ない、安全性の高い成分であると言えます。しかし、安全性が高いからといって、注意が不要なわけではありません。大量に吸い込んでしまうと、くしゃみや咳、喉の痛み、気分が悪くなるなどの症状が出ることがあります。また、皮膚に直接付着したり、目に入ったりすると、刺激となって炎症を起こす可能性もあります。したがって、スプレーを使用する際は、必ずマスクやゴーグル、手袋を着用し、薬剤を吸い込んだり、体に浴びたりしないように細心の注意を払う必要があります。特に、アレルギー体質の方や化学物質に過敏な方は、より慎重な対策が求められます。また、魚類や両生類、昆虫類全般に対しては非常に強い毒性を示すため、近くに池や水槽があったり、カブトムシなどを飼育していたりする場合は、薬剤がかからないように十分な配慮が必要です。