風邪でもないし、喉を酷使した覚えもないのに、なぜか喉の痛みや違和感が続く。耳鼻咽喉科で診てもらっても「特に異常はありません」と言われてしまう。そんな経験はありませんか。実は、その原因は喉そのものではなく、「ストレス」に起因する自律神経の乱れにあるかもしれません。私たちの心と体は、自律神経によって密接に繋がっています。強いストレスや慢性的な疲労、不安を感じると、交感神経が過剰に優位な状態が続き、体の様々な部分に不調が現れます。喉もその例外ではありません。ストレスによって交感神経が緊張すると、全身の血管が収縮し、血流が悪化します。喉の粘膜への血流も低下するため、粘膜が乾燥しやすくなったり、免疫力が低下して些細な刺激で炎症を起こしやすくなったりすることがあります。これが、原因不明の喉の痛みに繋がる一つのメカニズムです。また、ストレスは喉の筋肉を無意識のうちに緊張させます。食道を締め付けるような筋肉の過緊張が、「喉が詰まる感じ」「何かが引っかかっている感じ」といった、いわゆる「咽喉頭異常感症(ヒステリー球)」を引き起こすこともあります。さらに、ストレスは胃酸の分泌を過剰にさせ、逆流性食道炎を悪化させる一因にもなります。逆流した胃酸が喉の粘膜を刺激し、慢性的な痛みや咳、声がれの原因となるのです。では、このようなストレス性の喉の痛みを感じた場合、何科を受診すれば良いのでしょうか。まず最初にすべきことは、やはり「耳鼻咽喉科」を受診し、ポリープやがんなどの器質的な疾患がないことをしっかりと確認してもらうことです。物理的な異常がないとわかるだけでも、大きな安心材料となり、症状が和らぐこともあります。その上で、医師からストレスとの関連性を指摘された場合は、生活習慣の見直しやリラックスできる時間を作ることが治療の第一歩となります。それでも改善しない場合は、漢方薬の処方を受けたり、心療内科や精神科でカウンセリングや抗不安薬による治療を受けたりすることが、根本的な解決に繋がるケースもあります。喉の痛みは、体が発する心の悲鳴かもしれません。そのサインを見逃さず、心と体の両面からアプローチすることが大切です。