長い闘病の末、ようやく全ての発疹がかさぶたになり、医師からも登園・登校の許可が出た。これで一安心、と思いきや、水疱瘡は治った後にも、いくつか注意しておきたい後遺症が現れることがあります。その代表的なものが、「発疹の痕(あと)」と「爪の変化」です。まず、多くの親御さんが心配するのが、発疹の痕が残ってしまうのではないか、ということです。通常、掻き壊したり、細菌の二次感染を起こしたりしなければ、水疱瘡の発疹は、かさぶたが取れた後、色素沈着などもほとんど残さずに綺麗に治ります。しかし、かゆみに負けて強く掻きむしってしまったり、水疱が化膿してしまったりした場合は、皮膚の深い部分までダメージが及び、ニキビ痕のような、少しへこんだ傷跡として残ってしまうことがあります。特に、顔などの目立つ場所に痕が残ると、子供の精神的な負担になる可能性もあります。これを防ぐためには、やはり発症中のかゆみ対策と、掻き壊し防止が何よりも重要になります。次に、少し意外に思われるかもしれませんが、水疱瘡が治ってから一ヶ月から二ヶ月ほど経った後に、手足の爪が剥がれてくることがあります。これを「爪甲脱落症(そうこうだつらくしょう)」と呼びます。ある日突然、爪が根元から浮き上がり、ペロリと剥がれてしまうため、初めて見た親は驚いてしまうかもしれません。これは、水疱瘡のウイルスが、爪を作る根本の部分(爪母)に炎症を起こしたことが原因で、一時的に爪の成長がストップしてしまうために起こると考えられています。見た目は痛々しいですが、多くの場合、痛みはなく、剥がれた爪の下からは、すでに新しい爪がちゃんと生えてきています。特別な治療は必要なく、新しい爪が伸びるのを待てば大丈夫です。ただし、剥がれかけの爪が何かに引っかかって怪我をしないように、絆創膏などで保護しておくと良いでしょう。そして、忘れてはならない最大の後遺症が、体内に潜伏したウイルスが、数十年後に「帯状疱疹」として再活性化するリスクです。水疱瘡は、治った後も、長い目で体の変化を見守っていく必要がある病気なのです。
水疱瘡は治った後も注意が必要?後遺症について