水疱瘡の治療において、親が最も心を砕き、子供が最も苦しむのが、あの耐え難い「かゆみ」との闘いです。かゆみは、特に水疱ができてから膿疱になるまでの時期にピークを迎え、子供は無意識のうちに体を掻きむしってしまいます。しかし、この「掻く」という行為こそが、水疱瘡を悪化させる最大の原因となるのです。水疱を掻き壊してしまうと、そこから細菌が入り込み、二次感染を起こすリスクが高まります。二次感染を起こすと、傷が化膿して治りが遅くなるだけでなく、とびひに移行したり、痕が残りやすくなったりと、良いことは一つもありません。また、手に付着したウイルスを、他の場所に広げてしまうことにも繋がります。では、どうすればこの地獄のようなかゆみから、子供を守ってあげられるのでしょうか。まず、基本となるのが、医師から処方される薬を正しく使うことです。かゆみを和らげるために、抗ヒスタミン成分の入った飲み薬や、カチリ(フェノール・亜鉛華リニメント)と呼ばれる、患部を乾燥させて保護する白い塗り薬が処方されることが一般的です。これらを指示通りに使用し、かゆみを内側と外側からコントロールします。次に、家庭でできる物理的な対策です。まず、子供の爪を短く、そして丸く切ってあげましょう。万が一掻いてしまっても、皮膚へのダメージを最小限に抑えることができます。夜、寝ている間に無意識に掻いてしまう子には、薄手の手袋(ミトン)をさせてあげるのも有効です。服装は、皮膚への刺激が少ない、ゆったりとした綿素材のものを選び、こまめに着替えさせて体を清潔に保ちましょう。また、かゆい部分を冷たい濡れタオルなどで優しく冷やしてあげるのも、一時的にかゆみを紛らわすのに効果的です。ただし、体を温めると血行が良くなり、かゆみが増すことがあるため、入浴は熱いお湯に浸かるのではなく、ぬるめのシャワーで汗を流す程度にしましょう。石鹸はよく泡立て、優しく洗い、タオルで押さえるように拭き取ります。これらの対策を総動員し、子供のかゆみを少しでも和らげ、掻き壊しを防ぐことが、水疱瘡をきれいに治すための最も重要なミッションなのです。
かゆみとの闘い!子供の水疱瘡のかゆみ対策