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水疱瘡の時の食事と水分補給のポイント
水疱瘡にかかると、発熱や倦怠感で食欲が落ちるだけでなく、口の中にできた発疹(口内炎)が、食事をさらに困難なものにします。体力をつけてウイルスと戦うためには栄養補給が大切ですが、無理強いは禁物です。子供の苦痛を和らげ、回復をサポートするための食事と水分補給のポイントを知っておきましょう。まず、食事で最も気をつけたいのは、「口の中を刺激しない」ことです。口内炎ができている時に、熱いもの、塩辛いもの、酸っぱいもの、香辛料の効いた辛いものを食べると、傷口に染みて激しい痛みを引き起こします。ケチャップやソース、柑橘系のジュース、酢の物などは、症状が落ち着くまで避けましょう。また、おせんべいや硬いパンなど、物理的に口の中を傷つける可能性のある食べ物もNGです。では、どのようなものが良いのでしょうか。おすすめは、プリン、ゼリー、アイスクリーム、ヨーグルト、冷たいポタージュスープ、豆腐、茶碗蒸しなど、喉越しが良く、あまり噛まなくても食べられる、柔らかくて冷たいものです。おかゆやうどんも良いですが、必ず人肌程度に冷ましてから与えてください。栄養バランスを考えるあまり、子供が嫌がるものを無理に食べさせる必要はありません。この時期は、まず「食べられるものを見つけてあげる」ことが最優先です。そして、食事以上に重要なのが、「こまめな水分補給」です。発熱で体内の水分は失われやすく、食事が十分に摂れないため、脱水症状に陥る危険性が高まります。水分だけは、意識して摂らせるようにしましょう。ここでも、酸味の強いジュースは避け、麦茶や湯冷まし、牛乳、イオン飲料(経口補水液)などを選びます。一度にたくさん飲ませるのではなく、少量ずつ、回数を多くして与えるのがコツです。ストローを使うと、口内炎に直接触れずに飲めることがあるので、試してみる価値はあります。子供が食事を摂れずにいると、親としては心配でたまらないかもしれませんが、数日間は水分さえしっかり摂れていれば、大きな問題にはなりません。焦らず、子供のペースに合わせて、優しくサポートしてあげてください。
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皮膚科でもらえる日焼け止めはある?保険適用の実情
「肌が弱くて市販の日焼け止めが合わない」「アトピーでも安心して使える日焼け止めが欲しい」。そんな切実な悩みを持つ方の中には、皮膚科で特別な日焼け止めを処方してもらえるのではないか、と期待する方もいらっしゃるかもしれません。では、実際に皮膚科で日焼け止めを「処方」してもらうことは可能なのでしょうか。また、それは健康保険の適用になるのでしょうか。結論から言うと、一般的な日焼け対策を目的として、日焼け止めそのものを医薬品として保険適用で処方することは、現在の日本の医療制度では認められていません。日焼け止めは、あくまで化粧品や医薬部外品に分類されるため、その購入は全額自己負担となるのが原則です。しかし、だからといって皮膚科に行く意味がないわけではありません。皮膚科医は、患者さん一人ひとりの肌質や、アトピー性皮膚炎、ニキビ、光線過敏症といった皮膚疾患の状態を診断した上で、その人に最も適した市販の日焼け止めを「選んで推奨する」ことができます。これは、専門家による非常に価値のあるアドバイスです。例えば、アトピー性皮膚炎で肌のバリア機能が低下している患者さんには、刺激の少ないノンケミカル処方で、保湿成分が配合された低刺激性の製品を具体的にいくつか提案してくれます。また、ニキビに悩む患者さんには、油分が少なく、毛穴を詰まらせにくい「ノンコメドジェニックテスト済み」の製品を推奨するなど、肌トラブルを悪化させないための的確な指導が受けられます。さらに、一部の皮膚科や美容皮膚科では、医療機関専売のドクターズコスメとして開発された、高機能で低刺激な日焼け止めを取り扱っている場合があります。これらは保険適用外の自費購入となりますが、皮膚科学に基づいて開発されているため、市販品では満足できなかった敏感肌の方にとって、非常に心強い選択肢となります。つまり、皮膚科は「日焼け止めを処方してもらう場所」ではなく、「自分の肌に最適な日焼け止めを見つけるための、専門的なアドバイスをもらう場所」と考えるのが正しい理解と言えるでしょう。
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夏の自律神経は食事で守る、食欲不振の乗り切り方
食欲が落ち、そうめんやアイスクリームといった冷たくて喉越しの良いものばかりに手が伸びてしまう夏。しかし、この食生活こそが、自律神経の乱れをさらに悪化させる大きな落とし穴なのです。つらい夏を乗り切るためには、何をどう食べるかという食の智慧が欠かせません。まず、何よりも意識したいのが「内臓を冷やさない」ことです。冷たい食べ物や飲み物は、一時的に体を涼しくしてくれますが、胃腸を直接冷やしてその働きを著しく低下させてしまいます。消化機能が鈍ると、栄養の吸収効率が悪くなるだけでなく、体は消化のために余計なエネルギーを使うことになり、結果として夏バテや自律神経の疲弊を招きます。食欲がない時こそ、温かい味噌汁や野菜スープ、生姜やネギなどの薬味を加えた温かい飲み物などを意識的に取り入れ、内側から体を温めることが大切です。次に、自律神経の働きをサポートする栄養素を積極的に摂取しましょう。疲労回復に役立つビタミンB群は、豚肉やうなぎ、大豆製品に豊富です。また、心の安定に寄与するセロトニンの材料となるトリプトファンは、豆腐や納豆、味噌などの大豆製品、乳製品、バナナなどに多く含まれています。酸味のある梅干しやレモンに含まれるクエン酸も、疲労物質である乳酸の分解を助けてくれます。これらの食材をバランス良く組み合わせることが理想です。そして、夏に最も重要なのが水分補給ですが、ここにもポイントがあります。一度に大量の水をがぶ飲みすると、胃液が薄まって消化不良の原因になります。喉が渇いたと感じる前に、コップ一杯程度の量を一日に何度もこまめに飲むのが効果的です。水やお茶だけでなく、汗で失われがちなミネラルを補給できる麦茶や、吸収効率の良い経口補水液などを上手に活用するのも良いでしょう。食事は、私たちの体と心を作る基本です。食欲がないからと食事を疎かにせず、少しの工夫で体を労わることが、夏のつらい不調を乗り越える力となります。
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ストレスで喉が痛くなる?心と体の意外な関係
風邪でもないし、喉を酷使した覚えもないのに、なぜか喉の痛みや違和感が続く。耳鼻咽喉科で診てもらっても「特に異常はありません」と言われてしまう。そんな経験はありませんか。実は、その原因は喉そのものではなく、「ストレス」に起因する自律神経の乱れにあるかもしれません。私たちの心と体は、自律神経によって密接に繋がっています。強いストレスや慢性的な疲労、不安を感じると、交感神経が過剰に優位な状態が続き、体の様々な部分に不調が現れます。喉もその例外ではありません。ストレスによって交感神経が緊張すると、全身の血管が収縮し、血流が悪化します。喉の粘膜への血流も低下するため、粘膜が乾燥しやすくなったり、免疫力が低下して些細な刺激で炎症を起こしやすくなったりすることがあります。これが、原因不明の喉の痛みに繋がる一つのメカニズムです。また、ストレスは喉の筋肉を無意識のうちに緊張させます。食道を締め付けるような筋肉の過緊張が、「喉が詰まる感じ」「何かが引っかかっている感じ」といった、いわゆる「咽喉頭異常感症(ヒステリー球)」を引き起こすこともあります。さらに、ストレスは胃酸の分泌を過剰にさせ、逆流性食道炎を悪化させる一因にもなります。逆流した胃酸が喉の粘膜を刺激し、慢性的な痛みや咳、声がれの原因となるのです。では、このようなストレス性の喉の痛みを感じた場合、何科を受診すれば良いのでしょうか。まず最初にすべきことは、やはり「耳鼻咽喉科」を受診し、ポリープやがんなどの器質的な疾患がないことをしっかりと確認してもらうことです。物理的な異常がないとわかるだけでも、大きな安心材料となり、症状が和らぐこともあります。その上で、医師からストレスとの関連性を指摘された場合は、生活習慣の見直しやリラックスできる時間を作ることが治療の第一歩となります。それでも改善しない場合は、漢方薬の処方を受けたり、心療内科や精神科でカウンセリングや抗不安薬による治療を受けたりすることが、根本的な解決に繋がるケースもあります。喉の痛みは、体が発する心の悲鳴かもしれません。そのサインを見逃さず、心と体の両面からアプローチすることが大切です。
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咳で肋骨骨折、全治までにかかる期間とは?
咳のしすぎで肋骨にヒビが入ってしまった場合、誰もが気になるのは「この耐えがたい痛みは、一体いつまで続くのか」そして「完全に治るまでには、どれくらいの期間がかかるのか」ということでしょう。肋骨の疲労骨折の治癒期間は、骨折の程度や年齢、本人の回復力、そして何よりも安静を保てるかどうかによって大きく異なりますが、一般的な目安を知っておくことは、治療へのモチベーションを維持する上で役立ちます。まず、痛みのピークは、受傷直後から一週間から二週間程度続くことがほとんどです。この時期は、咳やくしゃみはもちろん、深呼吸や寝返りといった些細な動作でも激痛が走る、最もつらい期間です。医師から処方された痛み止めを適切に使い、バストバンドなどで胸郭を固定し、とにかく安静に過ごすことが求められます。この急性期を過ぎると、徐々に鋭い痛みは和らぎ、鈍い痛みに変わっていきます。骨の修復プロセスが始まり、骨折した部分に新しい骨(仮骨)が作られ始める時期です。日常生活に大きな支障がない程度に痛みが落ち着くまでには、おおよそ三週間から四週間ほどかかると考えておくと良いでしょう。そして、骨が癒合し、運動などをしても痛みを感じなくなる、いわゆる「全治」までの期間は、一般的に六週間から八週間、つまり一ヶ月半から二ヶ月程度が目安となります。ただし、これはあくまで骨がくっつくまでの期間です。痛みがなくなったからといって、すぐに激しい運動を再開すると、再骨折のリスクがあります。医師の許可が出るまでは、無理は禁物です。また、この回復期間は、咳が完全に治まっていることが大前提です。もし、骨折の治療中に再び激しい咳が出始めると、治りかけていた骨に再び負担がかかり、治癒期間が大幅に長引いてしまう可能性があります。咳の原因治療と、骨折部の安静。この二つを両輪として、焦らずじっくりと取り組むことが、結果的に最も早い回復へと繋がるのです。
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その疲れは甲状腺のせいかも女性が見逃すサイン
毎日を忙しく過ごす中で、慢性的な疲労感やちょっとした体調の変化を「いつものことだから」「年齢のせいかな」と見過ごしてしまってはいませんか。特に女性の場合、月経周期やライフステージの変化によって体調が揺らぎやすいため、多くの不調を個人の体質や更年期症状として片付けてしまいがちです。しかし、その「いつもの不調」が、実は甲状腺からの重要なサインである可能性を、ぜひ知っておいてください。甲状腺ホルモンは、体のエネルギー代謝を司る、いわば「元気の源」となるホルモンです。このホルモンの分泌が多すぎても(甲状腺機能亢進症)、少なすぎても(甲状腺機能低下症)、心と体に様々なサインが現れます。例えば、甲状腺機能が低下すると、体の代謝が全体的にスローダウンします。そのため、「十分寝ているはずなのに、朝から鉛のように体が重い」「食欲はないのに、なぜか体重が増えてむくむ」「肌が乾燥してカサカサする」「髪の毛が抜けやすくなった」「常に寒気を感じ、手足が冷たい」「物忘れがひどく、集中力が続かない」「理由もなく気分が落ち込み、やる気が出ない」といった症状が現れます。これらは、多くの女性が経験する不定愁訴と非常によく似ています。一方で、甲状腺機能が亢進すると、体は常に全力疾走しているような状態になります。「何もしていないのに心臓がドキドキする(動悸)」「たくさん食べるのに、体重がどんどん減っていく」「暑がりになり、異常に汗をかく」「手の指が細かく震える」「イライラしやすくなった」「寝つきが悪い」といった症状が特徴です。これらのサインは、一つひとつは些細なことかもしれません。しかし、複数の症状が当てはまる場合や、数ヶ月にわたって改善しない場合は、甲状腺の病気を疑い、専門医に相談する価値が十分にあります。あなたのそのつらい疲れは、気のせいでも、怠けでもなく、治療によって改善できる体の不調なのかもしれないのです。
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肋骨疲労骨折とは?咳の衝撃が引き起こすケガ
咳をするたびに胸に響く鋭い痛み。それは単なる筋肉痛ではなく、「肋骨疲労骨折」という、れっきとした骨折かもしれません。疲労骨折と聞くと、スポーツ選手が過度なトレーニングで起こすケガというイメージが強いですが、実は激しい咳の繰り返しによっても、あばらの骨である肋骨に発生することがあるのです。私たちの肋骨は、呼吸に合わせて柔軟に動く、比較的細くて薄い骨です。一方、咳は非常に爆発的なエネルギーを伴う身体反応です。「ゴホン!」という一回の咳で、肋骨やその周りの筋肉には、瞬間的に自分の体重の何倍もの負荷がかかると言われています。風邪や気管支炎などで、この強力な衝撃が何日も、何百回、何千回と繰り返し肋骨に加わり続けると、金属疲労のように骨の同じ場所に微細なダメージが蓄積していきます。そして、ついに骨の耐久力の限界を超えた時、ポキッと折れるのではなく、微細なヒビが入ってしまうのです。これが肋骨疲労骨折のメカニズムです。特に、骨がもろくなっている高齢者や、骨密度の低い女性は、比較的軽い咳でも発症しやすい傾向があります。骨折しやすい部位は、脇腹に近い、比較的動きの大きい第七から第十肋骨あたりが多いとされています。症状の特徴は、咳や深呼吸、体をひねる、寝返りをうつといった、胸郭が動く動作の際に、骨折した部分に限定して「ズキッ」「ピキッ」という鋭い痛みが走ることです。また、痛い場所を指で押すと、ピンポイントで激痛を感じる「圧痛(あっつう)」も重要なサインです。もし、長引く咳の後にこのような症状が現れたら、単なる筋肉痛と自己判断せずに、医療機関を受診することを検討してください。適切な診断を受け、痛みを管理しながら安静に過ごすことが、つらい痛みからの早期回復に繋がります。