ヘルパンギーナと聞くと、多くの人が「子供の夏風邪」というイメージを持つでしょう。しかし、この病気は大人にも感染し、一度かかると、その症状の激しさと治るまでの期間の長さに驚かされることが少なくありません。大人がヘルパンギーナにかかった場合、どのくらいの期間で治るのか、その典型的な経過を知っておくことは、先の見えない不安を和らげる一助となります。結論から言うと、大人のヘルパンギーナは、症状が完全に落ち着き、体力が元に戻るまでには、おおよそ七日から十日、場合によってはそれ以上かかることもあります。まず、ウイルスに感染してから二日から四日ほどの潜伏期間があります。その後、突然、悪寒とともに三十九度から四十度にも達する高熱で発症します。この急激な高熱と同時に、インフルエンザを彷彿とさせるような激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、そして強い倦怠感に襲われます。この初期症状だけでも、体を動かすのが困難になるほどです。そして、発熱から一日か二日遅れて、ヘルパンギーナの最大の特徴である、喉の奥の症状が現れます。上あごの奥(軟口蓋)や、のどちんこの周辺に、赤く小さな水ぶくれが数個から十数個出現し、これが破れると、非常に痛みの強い口内炎(潰瘍)になります。この喉の痛みのピークは、発症から二日目から四日目頃です。高熱と激痛で、食事はもちろん、唾を飲み込むことさえ苦痛になります。この最もつらい時期を乗り越えると、徐々に回復期へと向かっていきます。発症から四日目から六日目あたりで、高熱は解熱剤なしでも下がることが多く、喉の痛みも少しずつ和らいでいきます。そして、発症からおおよそ一週間から十日ほどで、喉の口内炎も治癒し、普段通りの食事ができるようになります。ただし、熱や痛みが治まった後も、倦怠感だけがしばらく残ることも珍しくありません。大人のヘルパンギーナは、子供のそれとは比較にならないほど症状が重く、回復にも時間がかかります。焦らず、十分な休養をとることが、確実な治癒への一番の近道です。
大人のヘルパンギーナ!治るまでの全経過と期間