地獄のような高熱と喉の痛みのピークを乗り越え、ようやく解熱し、食事も摂れるようになった。これでやっとヘルパンギーナから解放される、と安堵したのも束の間、多くの大人が「病後のしつこい倦怠感」に悩まされます。熱や痛みが治るまでの期間も辛いですが、この回復期に続く、体の重さやだるさが、社会復帰の大きな壁となることがあります。なぜ、ヘルパンギーナの後には、これほどまでに強い倦怠感が残るのでしょうか。それは、病気の期間中に、体がウイルスと激しい戦いを繰り広げ、相当なエネルギーと体力を消耗してしまったからです。特に大人の場合、四十度近い高熱が数日間続き、その間、食事もままならず、痛みで十分な睡眠もとれない、という極限状態に置かれます。これは、フルマラソンを何日も走り続けているようなもので、体のダメージは計り知れません。熱が下がった時点では、ウイルスは体から排除されつつありますが、体はまだ「戦いの後」の荒廃した状態なのです。筋肉は消耗し、エネルギーは枯渇し、免疫システムも疲弊しています。この状態で、普段通りに仕事や家事をこなそうとすれば、体が悲鳴を上げるのは当然のことです。この病後の倦怠感から完全に回復し、治るまでの期間には、個人差がありますが、一般的には一週間から、長い人では二週間以上かかることもあります。焦りは禁物です。「熱が下がったから大丈夫」と無理をすると、体調がぶり返したり、他の感染症にかかりやすくなったりする可能性があります。この時期に最も大切なのは、「積極的な休養」です。栄養バランスの取れた食事を、消化の良いものから少しずつ摂り、体の回復に必要な材料を補給しましょう。特に、タンパク質やビタミン、ミネラルは重要です。そして、何よりも睡眠を大切にしてください。夜ぐっすり眠ることはもちろん、日中でも、だるさを感じたら無理せず横になる時間を作りましょう。体からの「まだ休んで」というサインに、素直に耳を傾けること。それが、本当の意味でヘルパンギーナから「治る」ための、最後の、そして最も重要なステップなのです。
治るまでが長い!ヘルパンギーナ後の倦怠感