大人がヘルパンギーナにかかってしまった場合、自身のつらい症状だけでなく、仕事への影響も大きな心配事となります。激しい高熱と喉の痛みで、何日間も仕事を休まざるを得なくなった時、いつから復帰できるのか、その目安を知っておくことは重要です。まず、法律上の観点から言うと、ヘルパンギーナはインフルエンザのように、出席停止期間が明確に定められている感染症ではありません。そのため、職場復帰のタイミングは、最終的には本人の体調と、会社の就業規則や判断に委ねられることになります。しかし、医学的な観点から、職場復帰の目安となるいくつかの条件があります。それは、「解熱していること」「全身状態が良好であること」「喉の痛みが和らぎ、普通の食事がとれること」の三つです。ヘルパンギーナの症状のピークは、発症から二日から四日目です。この期間は、四十度近い高熱と激しい喉の痛みで、そもそも出勤できる状態ではありません。多くの場合、発症から四日から六日ほどで熱は下がり始め、喉の痛みも徐々に改善してきます。この段階で、解熱鎮痛剤などを使わなくても平熱が保たれ、倦怠感がある程度なくなり、そして、痛みを我慢せずに食事ができるくらいまで回復していれば、職場復帰を検討し始めても良いでしょう。一般的には、発症からおおよそ五日から七日程度で、これらの条件を満たすことが多いようです。ただし、これはあくまで最短の目安です。大人のヘルパンギーナは、症状の回復に個人差が大きく、熱や痛みが治まった後も、強い倦怠感がしばらく続くことがあります。体力が完全に戻っていない状態で無理に復帰しても、仕事のパフォーマンスは上がらず、かえって回復を遅らせてしまう可能性もあります。また、回復後も、ウイルスは二週間から四週間にわたって便の中から排出され続けるため、職場での手洗いの徹底は不可欠です。最終的な復帰のタイミングは、無理をせず、自分の体調と相談しながら、そして可能であれば、医師の診断書などを基に、上司と相談して決めるのが最も賢明な判断と言えるでしょう。