喉に明確な痛みはないけれど、「何かが常に引っかかっているような感じがする」「痰が絡んで取れない」「喉が詰まるような圧迫感がある」。こうした喉の違和感も、非常に不快で気になる症状です。一体これは何なのか、そして何科を受診すれば良いのか、悩んでいる方も多いでしょう。このような「喉の違和感」を訴えて医療機関を受診する場合も、やはり第一選択となるのは「耳鼻咽喉科」です。その理由は、まず喉に物理的な異常がないかどうかを、専門的な器具でしっかりと確認する必要があるからです。耳鼻咽喉科では、鼻から細いファイバースコープを入れて、咽頭や喉頭、食道の入り口あたりまでを詳細に観察することができます。この検査によって、小さなポリープや、炎症による腫れ、あるいは逆流性食道炎による喉の粘膜のただれなど、違和感の原因となっている可能性のある器質的な変化を見つけ出すことができます。稀ではありますが、咽頭がんや喉頭がん、食道がんなどの初期症状として、喉の違和感が現れることもあるため、専門医によるチェックは非常に重要です。しかし、多くの場合、スコープで観察しても明らかな異常が見つからないことがあります。それでも症状が続く場合、次に考えられるのが「咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)」、別名「ヒステリー球」とも呼ばれる状態です。これは、喉に異常がないにもかかわらず、自律神経の乱れや精神的なストレス、不安などが原因で、喉の筋肉が異常に緊張し、詰まり感や異物感として感じられる状態です。この場合、耳鼻咽喉科で「器質的な問題はない」と確定診断してもらうこと自体が、患者さんの安心に繋がり、症状の改善の第一歩となります。その上で、漢方薬や抗不安薬が処方されたり、症状によっては心療内科や精神科との連携が必要になったりすることもあります。いずれにせよ、まずは喉の専門家である耳鼻咽喉科で物理的な異常がないことを確認する。それが、長引く喉の違和感の正体を突き止めるための、最も正しいスタートラインなのです。
喉の違和感や詰まる感じ、これも何科へ?