咳をしすぎてあばらを痛めてしまった時、病院に行くまでの間や、診断を受けた後の療養期間中に、少しでも痛みを和らげるために自分でできることはあるのでしょうか。ここでは、つらい痛みを乗り切るための応急処置と、日常生活で気をつけるべきポイントについて解説します。まず、痛みが強い急性期には、患部を「冷やす」ことが有効な場合があります。炎症を起こして熱を持っている可能性があるため、アイスパックや氷嚢、冷たい湿布などをタオルで包み、痛い部分に十五分から二十分程度当ててみましょう。これにより、炎症と痛みが和らぐことがあります。ただし、冷やして逆に痛みが強まるように感じる場合は、すぐに中止してください。痛みの緩和には、市販の消炎鎮痛成分(ロキソプロフェン、ジクロフェナクなど)が含まれた湿布や塗り薬を使用するのも一つの手です。そして、最も重要なのが「安静」です。肋骨疲労骨折や肋間筋の損傷の治療の基本は、骨や筋肉に負担をかけず、自然に修復されるのを待つことです。そのためには、痛みを誘発する動作を極力避ける必要があります。重い物を持ったり、体を大きくひねったりするような運動や作業は、痛みが完全に消えるまで控えましょう。咳やくしゃみが出そうになった時は、とっさにクッションや枕を胸に抱え込むようにすると、胸郭への衝撃が少し和らぎ、痛みを軽減できます。また、睡眠時の姿勢も重要です。痛い方を下にして寝ると圧迫されて痛みが増すため、痛くない方を下にするか、仰向けで寝るようにしましょう。上半身を少し高くして寝ると、呼吸が楽になり、寝返り時の痛みも少なくなることがあります。服装は、体を締め付けないゆったりとしたものを選びましょう。痛みを固定するために、バストバンドやサラシを軽く巻くことも有効ですが、締めすぎると呼吸が苦しくなるため、医師や薬剤師に相談の上で行うのが安全です。これらの工夫をしながら、焦らずに体が回復するのを待つことが、つらい痛みからの脱出への近道です。
あばらが痛い時の応急処置と日常生活の注意点