食欲が落ち、そうめんやアイスクリームといった冷たくて喉越しの良いものばかりに手が伸びてしまう夏。しかし、この食生活こそが、自律神経の乱れをさらに悪化させる大きな落とし穴なのです。つらい夏を乗り切るためには、何をどう食べるかという食の智慧が欠かせません。まず、何よりも意識したいのが「内臓を冷やさない」ことです。冷たい食べ物や飲み物は、一時的に体を涼しくしてくれますが、胃腸を直接冷やしてその働きを著しく低下させてしまいます。消化機能が鈍ると、栄養の吸収効率が悪くなるだけでなく、体は消化のために余計なエネルギーを使うことになり、結果として夏バテや自律神経の疲弊を招きます。食欲がない時こそ、温かい味噌汁や野菜スープ、生姜やネギなどの薬味を加えた温かい飲み物などを意識的に取り入れ、内側から体を温めることが大切です。次に、自律神経の働きをサポートする栄養素を積極的に摂取しましょう。疲労回復に役立つビタミンB群は、豚肉やうなぎ、大豆製品に豊富です。また、心の安定に寄与するセロトニンの材料となるトリプトファンは、豆腐や納豆、味噌などの大豆製品、乳製品、バナナなどに多く含まれています。酸味のある梅干しやレモンに含まれるクエン酸も、疲労物質である乳酸の分解を助けてくれます。これらの食材をバランス良く組み合わせることが理想です。そして、夏に最も重要なのが水分補給ですが、ここにもポイントがあります。一度に大量の水をがぶ飲みすると、胃液が薄まって消化不良の原因になります。喉が渇いたと感じる前に、コップ一杯程度の量を一日に何度もこまめに飲むのが効果的です。水やお茶だけでなく、汗で失われがちなミネラルを補給できる麦茶や、吸収効率の良い経口補水液などを上手に活用するのも良いでしょう。食事は、私たちの体と心を作る基本です。食欲がないからと食事を疎かにせず、少しの工夫で体を労わることが、夏のつらい不調を乗り越える力となります。