なんだか最近、疲れやすい。急に体重が増えたり減ったりする。動悸がして、気分も落ち込みがち。これらの症状は、多くの女性が経験するありふれた不調かもしれません。しかし、その背後には「甲状腺」の病気が隠れている可能性があります。特に女性は、男性に比べて甲状腺疾患にかかりやすいことが知られています。では、こうした甲状腺の不調を疑った時、私たちは一体、何科の病院の扉を叩けば良いのでしょうか。その最も的確な答えは、「内分泌内科」あるいは「甲状腺専門外来」です。内分泌内科とは、ホルモンを分泌する内分泌器官(甲状腺、下垂体、副腎など)の病気を専門に扱う診療科です。甲状腺は、体中の細胞の新陳代謝を活発にする「甲状腺ホルモン」を分泌する非常に重要な臓器であり、その機能に異常が生じると、心と体に様々な影響が及びます。内分泌内科医は、この甲状腺ホルモンのわずかなバランスの乱れを血液検査などから正確に読み取り、バセドウ病や橋本病といった甲状腺疾患の診断と治療を行うスペシャリストなのです。しかし、内分泌内科は大きな病院にしかないことも多く、近所に見当たらない場合もあるでしょう。その場合は、まず「一般内科」を受診することをお勧めします。内科医に症状を詳しく伝えれば、甲状腺疾患の可能性を考慮し、基本的な血液検査を行ってくれます。その結果、異常が見つかれば、専門の内分泌内科がある病院への紹介状を書いてもらえます。決して自己判断で様子を見たり、関係のない診療科を受診して時間を無駄にしたりすることなく、まずは内科、できれば内分泌内科へ相談すること。それが、長引く原因不明の不調から抜け出すための、最も確実で賢明な第一歩となるのです。